【隔離】映画履歴室【病棟】
 
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最終兵器彼女

タイトル:最終兵器彼女

監督: 須賀大観

出演: 前田亜季 窪塚俊介 木村了 貫地谷しほり 津田寛治

製作:2006年 日本



【ストーリー】シュウジはクラスメイトであるちせと付き合うことになる。シュウジはちせと友人であるアツシとアツミと共に札幌に出かけことになるが、ちせはドタキャンで参加できなかった。シュウジ達が札幌で買い物をしていると、多くの戦闘機が現れ爆撃を開始する。爆炎につつまれ逃げ惑うシュウジたち。ところが突如、人型の飛行物体が現れ戦闘機を撃墜し始める。被弾し撃墜した戦闘機の破片がシュウジに向かってくるが、人型の飛行物体がその破片を跳ね除ける。シュウジが見たその人型の飛行物体の姿はデートをドタキャンしたはずのちせだった・・・。

【感想】むぅぅ・・・。日常パートと戦争パートの落差が酷い・・・。戦争部分はとてもいいと思うんです。北海道空襲、ちせの敵軍殲滅、敵軍との交戦etc.etc。だけど、それだけに、日常パートの酷さが余計に目立つ・・・。それでもまだちせ役の前田亜季は頑張ってたと思うんです。もぅちょっと背が低くて幼い感じだったら良かったけど。致命的なのはシュウジなんです。絶対にミスキャストですよね?なんか髪の毛ももっさ~ってしてるし・・・。原作のイメージと真反対じゃないですか。線が細くて、頼りなくて、不器用な感じなのがシュウジだったのに・・・。なんかアツシと一緒に自衛隊に参加したほうが似合ってますよwと言いたかった。どぅせなら、日常パートをざっくり削除してちせの視点に変更して戦争パートを大幅に増やせばいい映画になったろうに。もったいない。あ、でも、それじゃOVAと同じようなものになるかw


 良くも悪くも邦画の現状といったところでしょうか。CGは、ハリウッドほどではないにせよ、レベルが上がってきたんだと思います。ですが、演技のできる若い人がいない。もっともアメリカ(ハリウッド)とは映画や役者の社会的な位置づけが違うからどぅしようもないことなのかもしれませんが・・・。


風と共に去りぬ

タイトル:風と共に去りぬ

監督:ヴィクター・フレミング
出演:クラーク・ゲーブル ヴィヴィアン・リー レスリー・ハワード オリヴィア・デ・ハヴィランド ハティ・マクダニエル
製作:1939年 アメリカ

【ストーリー】南北戦争前夜の「古き良き南部」。タラの大地主の娘、スカーレット・オハラは想いを寄せるアシュレーが結婚することを知り動揺する。スカーレットはアシュレーに想いを告げるも拒絶され、さらにその場を評判の良くないレット・バトラーに目撃されてしまう。スカーレットはアシュレーに拒絶された腹いせに愛してもいない男性と結婚をする。しかし夫は南北戦争で病死し、彼女は未亡人となる。喪に服し家に閉じこもることに耐えかねたスカーレットはアトランタに行き、そこでレット・バトラーと再会する。しかし、戦争は激化し南軍は追い詰められアトランタにも戦禍が降りかかる・・・。


【感想】一人の女性に「運命の相手」というのが二人いたらどぅなるか?というような映画だったような気がしました。片や堅実で落ち着いた印象のアシュレー、片や女の扱いに慣れていて独身主義のレット・バトラー。スカーレットにとって不幸だったのは、彼女自身が、恋愛においては諦めることのできない性格だったことでしょうねぇ。アシュレーが結婚した後も、彼への未練が断ち切れずに、それが結局、バトラーとのすれ違いの原因にもなってしまう悲劇。アシュレーを失い、息子を失い、親友を失い、そして最後にはバトラーも失ってしまう。最後の場面に彼女に残されていたのは、「あした」という希望だけでした。しかし、個人的にはスカーレットはただの気の強い我侭娘にしか見えませんでしたがw


 スカーレットの生きるためへの強烈で汚れ役すら厭わない行動力。テラの土地を、そして家を護るためなら、男を騙し、妹の恋人を奪い、全てを奪った北軍を相手に商売をする。そんな彼女の、ある種計算高い行動と、恋愛でのあまり賢いとは思えない行動、この差が印象的でした。まぁ、アシュレーに対してもバトラーに対しても「私には貴方しかいない。」と懇願するあたりは計算高い?のかもしれませんがw しかしあれですね、金持ちっていうのは一度なくしてもあっという間に金持ちに戻れるんですねw やっぱり金持ちには金持ちの知り合いが多いからやり直しが聞くのかもしれませんw


 この映画での主演はクラーク・ゲーブル演じるレット・バトラーとビビアン・スー演じるスカーレット・オハラですが、主人公となると、テラの大地も数えられると思います。スカーレットの父親が言っていたとおり彼女を最後まで裏切らずに常に支えていた存在でした。そして、なんたって美しいんですよ。沈む夕陽に紅く染まったテラの大地、浮かぶ影。一枚絵としても完成されているすばらしい構図です。


 恥ずかしながら原作は未読なのですが、機会があればぜひ読んでみたいですね。さらに『風と共に去りぬ』には『スカーレット』という続編もあるそうです。ただし『スカーレット』の作者は別人です。原作者であるミッチェル女史の遺族からのお墨付きではあるそうですが・・・。

ヴェニスの商人


タイトル:ヴェニスの商人
監督:マイケル・ラドフォード
出演:アル・パチーノ ジェレミー・アイアンズ ジョセフ・ファインズ リン・コリンズ ズレイカ・ロビンソン
製作:2004年 アメリカ イタリア ルクセンブルグ イギリス


【ストーリー】1596年、ヴェニス。散財が過ぎ無一文になったバッサーニオは、美しい女性・ポーシャに求婚する為に親友のアントニーオに金を借りに来る。しかし、折り悪くアントニーオの全ての財産は海外への投資に使われていた。アントニーオは自らの信用をもとに犬猿の仲であるユダヤ人・シャイロックに3000ダカットの借用を申し込む。シャイロックは無利子で3000ダカットを貸すが、その条件として「3ヶ月の期限内に返済ができない時には胸の肉を1ポンド貰い受ける」という条件を出す。バッサーニオは友人でもあり、シャイロックの娘と駆け落ちをするロレンゾーを連れ立ってポーシャのもとへ向かう。娘が失踪したことを嘆き悲しむシャイロックのもとにアントニーオの船が次々と座礁しているという報が入る。娘と財産を失ったシャイロックの憎しみはアンとニーをに向かうことになる・・・。


【感想】僕は『ヴェニスの商人』は喜劇だと思っていました。そしてそれは、たぶん、間違っていないはずです。ですが、この作品は悲劇色がとても濃く描かれています。まぁ、シェイクスピア作品には多くの解釈があってもいいと思うので、あまり気にしませんが・・・。

アル・パチーノはやはり凄い。シャイロックの怨念や哀切をとても上手に演じています。そしてジェレミー・アイアンズもやはり素晴らしい。シャイロックに追い詰められていく悲壮感をパチーノに負けず劣らずな演技を見せてくれます。しかし、この二人の素晴らしすぎる演技がこの映画を悲劇映画にしてしまったような気がします。二人が熱のこもった演技をすればするほどアントニーオとシャイロックの悲劇が際立ち、喜劇的な色合いが薄まっていきます。もっとも、監督や製作陣もこの映画を悲劇映画として製作したようなので、その狙いは大当たりなのでしょうが・・・。

シェイクスピアの原作では登場人物紹介の一番先頭にアントニーオとバッサーニオが並べられています。そしてこの映画ではアル・パチーノ、つまりシャイロックが一番最初にクレジットされています。このことが原作と映画の毛並みの違いをはっきりと示しています。原作は喜劇作品として有名です、そして映画は悲劇作品です。バッサーニオはこの作品でポーシャとの恋などを通じて喜劇的なパートを担当する人物、そしてシャイロックは悲劇的なパートを担当します。原作ではバッサーニオを主人公とすることで喜劇として、映画ではシャイロックを主人公とすることで悲劇としています。

一番気に入らないのはですね、ロレンゾーとポーシャの存在感が全くといっていいほど無いことなんですよ。ロレンゾーとポーシャといえば「きっとこんな夜だった・・・」にはじまる美しい掛け合いが絶対必要だと思うんです。それをずばっと消しちゃったのは勿体無いなぁ・・・。そして、ポーシャとネリッサが法学博士としての招待を明かした後にシャイロックの哀れな姿を見せるのも完全な蛇足でしょうねぇ。せめて最後くらい原作のような爽やかさが欲しかった気がします。

やっぱり有名な作品の映画化やリメイクなどはリスキーなのかもしれませんね。見る人がオリジナルを好きであれば好きであるほど些細な差異が気になってしまいます。

なんか不平不満が続きましたが、とてもいい映画でしたよw演技巧者が集っていて締まった作品になっています。暗い色調の画面も悲劇色を強めるのにはとても効果的でした。できればこの面子で、まったくのオリジナル作品を見てみたいような気がします。

アナコンダ2

タイトル:アナコンダ2
監督:ドゥワイト・リトル
出演:ジョニー・メスナー ガディ・ストリックランド マシュー・マースデン ユージン・バード
製作:2004年 アメリカ

【ストーリー】製薬会社で新薬の開発をしているゴードンとバイロンは「ブラッド・オーキッド」という赤い繭を使用することで劇的な効果を挙げることをコスメを開発できるこを実証した。しかし、ブラッド・オーキッドは七年に一回、二週間しか花をつけない希少な植物であり、ちょうど花をつける時期が迫っていた。二人は会社の承認を得てブラッド・オーキッドの咲くボルネオに飛ぶ。しかしボルネオは雨季に入っていて誰も船を出してくれない。困り果てた一行はいわくありげなジョンソンに5万ドルで船を出してもらうことにする。

【感想】ん~・・・。前作も見ていて、それなりにみれる作品だったんですけどねぇ。前作では「俺達こんなリアルな大蛇作ったんだぞっ!見て見て!!」と言わんばかりにアナコンダが写ってくれたのですが、今回は全体が写ることなどほとんどない・・・。隠す必要なんてないと思うんですけどねぇ。ストーリー自体も 金に目の眩んだ馬鹿御一行が無茶してGO→危機勃発!→なんとか回避→仲間割れ&二度目の危機勃発!→なんだかんだで危機回避→主人公とヒロインが恋に落ちる という実にありふれたもの・・・。良いんです!この手の作品はとにかく大きい化物が大暴れしていれば!ストーリーなんてあってないようなものなんですから!それなのに・・・な、なのに・・・なぜにアナコンダを隠す・・・。ヒルとか蜘蛛のほうが目立ってましたよ。

レクイエム

タイトル:レクイエム
監督:フィリップ・マルチネス
出演:ジャン=クロード・ヴァンダム リサ・キング サイモン・ヤム ヴァレリー・ティアン
製作:2004年 アメリカ

【ストーリー】裏社会で用心棒などをして生きてきたベン・アーチャーは、家族との平穏な生活を望み足を洗おうとする。ベンはマックスにマフィアを抜けることを伝え家族の元に急ぐ。しかし、ソーシャル・ワーカーを勤める妻のシンシアが保護した密入国少女キムを取り返すために追ってきたチャイニーズ・マフィアによってシンシアは殺される。キムと残された息子は難を逃れマックスの元に逃げ込みベンの帰りを待つ。最愛の妻を奪われたベンは、妻の鎮魂のためにチャイニーズ・マフィアへ復讐することを誓う。

【感想】老いたな、ヴァンダム・・・。 これが感想ですね。以前のようなキレのよいアクションがみられない。180度開脚や回し蹴りなどが全くないヴァンダム映画なんて・・・。かわりにカーアクションや銃撃戦が盛沢山。ヴァンダムファンはそんなのみたいんじゃないんですよ、流麗な動きから繰り出されるダイナミックな肉体アクションがみたいんだよっ!!今回は、監督の意向でヴァンダムの別の魅力を引き出すために今までとは違うアプローチをしたそうですが、完全に失敗だよ。まぁ、寡黙に復讐を遂行していくのは演技力に乏しいヴァンダム向きだとは思うんだけどねぇ。妻が死ぬ原因にもなった密入国少女に怒りをぶつける場面がありながら、その後すぐに彼女を護る気になったりしてたのも×。もぅちょっと説明的な部分があればよかったのに。ヴァンダムはもぅ年とってるからアクションは無理なのかなぁ。

Uボート 最後の決断

タイトル:Uボート 最後の決断
監督:トニー・ジグリオ
出演:ウィリアム・H・メイシー ティル・シュヴァイガー スコット・カーン
製作:2003年 アメリカ

【ストーリー】1943年mアメリカ軍の潜水艦ソードフィッシュ号はドイツのUボートを殲滅するために大西洋に出航した。航海は順調だったが、副長が髄膜炎を発症し、これがほかの船員にも伝染を始める。船員達が伝染病に気づき始めた頃、Uボートと遭遇と遭遇するがかろうじて撃破。しかし、ソードフィッシュ号も航海不能の被害を受ける。艦長はじめ、生残った船員は別のUボートに救出され捕虜となる。そして、数日後Uボート内にも髄膜炎が伝染し始める。一人一人と倒れ命を失う中、Uボートはアメリカ軍の駆逐艦と遭遇し交戦状態になる。かろうじて駆逐艦を撃破するがUボートも航海が難しい状態になる。艦長は決断を迫られる。このまま艦が沈むのを待つか、アメリカ軍海域に行き捕虜となることで船員を生かすか・・・。

【感想】潜水艦映画にははずれが少ないそうです。古くは『眼下の敵』や『Uボート』などの傑作があります。今回も、前出の傑作には及ばないものの、とてもぃぃ作品です。それぞれの役割がはっきりしていて、誰かが一方的な悪役になるという勧善懲悪ものでもなく、アメリカ映画だからといってドイツ(ナチス)が悪く描かれているわけでもなし。途中途中で記録映像を使ってるのは御愛嬌w 愛国心か命か。国を裏切ってでも約束を護るチーフの男らしさ。かっこいい!しかし、途中でチーフが見る幻はいただけなかったなぁ。潜水艦映画なら男くさい男だけで構成される映画のほうが良かったかもしれない。

劇場版AIR

タイトル:劇場版AIR
監督:出崎統
出演:川上とも子 久川 綾 緑川 光
製作:2005年 日本

【ストーリー】 国崎住人は母から言われた「彼女は今でも空であなたを待っている。あなたには彼女を救える力がある。」と言う言葉から逃げるように旅を続けている。人形芸で日銭を稼ぐ彼は祭りがあると聞いて小さな町にやってくる。そこで彼は観鈴と出会い、彼女のフィールドワークを手伝う代わりに納屋に泊めてもらうことになる。翼人伝説――昔のこと、背中に翼を持つ異形のものあり。捕らえられ母と子は別々の場所に監禁される。大切な人に 思いを伝えるだけで死に至らしめる呪い。――観鈴の身体は原因不明の病気に蝕まれ次第に衰えていく。

【感想】原作のゲームをプレイしてるかどうかで評判が二分されてるらしいです。原作をプレイしたことがある人からは駄作と、そぅでない人からは泣けると評判。幸か不幸か僕は原作をプレイしてないのである程度楽しめました。とっているスタイルは『思いで語り』なのですが、あまりそれは意識しなくてすむ作りです。ただ惜しむらくは台詞がいちいちクサイんです。特にモノローグはむず痒くなるような台詞がいっぱいでしたw ただ泣けることは泣けます。最後のゴールに向かう観鈴のひたむきさ、大好きな人の命の火が弱くなるのを黙ってみることしか出来ない無力感、それに負けてしまう弱さ。とても心に響くのです。原作のゲームはこれよりももっと泣けるらしいので機会があったらやってみたいなぁ。

THE JUON/呪怨

タイトル:THE JUON/呪怨
監督:清水崇 出演:サラ・ミシェル・ゲラー ジェイソン・ベア ビル・プルマン
製作:2005年 アメリカ

【ストーリー】 東京で交換留学生として福祉を学ぶカレンは連絡の取れなくなったヨーコのかわりに軽度の痴呆症を持つユマの家に看護に行く。無事にユマの家にたどり着いたカレンだったが二階で妙な物音を聞く・・・。これを皮切りにカレン、ユマの息子のマシューや妻のジェニファー、事件を担当する刑事を巻き込んで悪夢のような事件が巻き起こる。

【感想】 忠実なセルフリメイクです。ビデオからはじまった呪怨ですが、大きなストーリーの変更はなくハリウッドまでいっちゃいました。物語を人物ごとに分割してそれを再配置する手法もそのまんま。しかし、ハリウッド仕様かカヤコの化物率は3割増w あまりにも忠実すぎるからどこでどんなことが起こるかわかっちゃうんですよね。それでも怖いんですけど。

ボックスオフィスでも二週連続の一位ですし続編を作るみたいですね。まぁ、続編を考えているからあのラストなんでしょうけど。続編ではそろそろ変化が欲しいような気もします。同じシチュエーションを繰り返すだけではそろそろ誰も満足しないでしょうし。

着信あり2

タイトル:着信あり2
監督:塚本連平
出演:ミムラ 吉沢悠 瀬戸朝香
製作:2005年、日本

【ストーリー】
死の着メロと共に自分の携帯番号から自分自身の携帯に着信がある。杏子の親友、友人の父親なども次々と殺されていき、ついには杏子自身にも死の着信がくる。杏子は一年前の着メロ事件から事件をずっと追いかけてきているルポライターの孝子や本宮刑事などと協力し呪いを解明しようとする。そして台湾に呪いの鍵があることを突き止め台湾へと渡る。

【感想】
ん~・・・。見る前からいろいろと警告されていたのですが、ここまでとは・・・。お話の膨らませ方はよかったと思うんです。前作は大きな呪いの1部分だった、呪いの源泉は別の場所にありそこを突き詰めないと呪いは終わらないというのは・・・。ただ、ディテールがボロボロなんです。夜に渋谷にいながら次の日の朝の朝には飛行機で台湾に着いたり、何ももたずに家を飛び出たはずなのに目的の場所に着くとカバンを持ってたり、etc と細かいことなのかもしれないですが全くボロボロなんです。しかも演技は学芸会レベル。しかも怖い場面はみなどこかで見たことあるようなものばかり・・・。 

まぁ、それでも秋元氏は『着信あり7』まで作ると息を巻いてるようですが・・・。まぁ、期待せずにまったりとまってみます。せっかく話の膨らませ方はよかったんですから・・・。

誰も知らない

タイトル:誰も知らない
監督:是枝裕和
出演:YOU 柳楽優弥 北浦愛 韓英恵
製作:2004年、日本

【ストーリー】
それぞれ父親が違う4人の子供達と未婚の母の家族。未婚の母で4人の子持ちだと借りれるアパートを探すのが難しいため、長男以外はトランクなどに詰められて引越しをした。新しい部屋で世間とは隔離されながらも幸せそうな生活を始める。しかし、ある日母親が置手紙とお金を残し失踪した。一ヵ月たっても母は帰らず、お金も底をつく。長男の明は妹や弟の父親を訪ね金を無心する。しばらくの後、母親は帰ってくるがすぐにまた消えてしまう。母からは再び便りもなくなりお金も徐々に減っていく。


【感想】
見ていて苦しい作品でした。たぶんこの『誰も知らない』という作品は現代の失楽園なのだと思います。母親と兄弟四人だけの住む楽園から現実(社会)に
追放された子供達。じわりじわりと現実に蝕まれていく楽園。そしてその現実のなかで生命力を開花させる子供達。

子供達の演技が素晴らしいです。カンヌで最優秀主演男優賞を受賞した柳有楽の演技も素晴らしいですが、末妹を演じた清水萌々子の演技がもっとも素晴らしかったです。演技とは思えないくらい自然な、あの頃の子供じゃないとできない無垢な表情でした。それにしても柳有楽は中性的でしたねぇ・・・。ビヨルン・アンデルセンといい勝負だ。

それにしても笑えない映画だった・・・。数年後には僕もあんなふうにお金に困ってる姿が目に浮かぶ。あんなに本能的な生命力もないから惨めで無様な醜態を晒すんだろうなぁ・・・。なんとか回避しなくては・・・。